中国では最近、高速道路で重大な事故を起こす大型トラックが急増し、社会問題となっている。「新華網」によると、2012年のデータでは、中国で貨物トラックによる事故死亡者数は年間1万8,621人を数え、うち2,666人がトラックドライバーとのこと。残りの1万6,000人はトラックに衝突したり、荷台から降ってきた荷物に押し潰されて死亡しているというから恐ろしい。 中国では、ネット通販などの普及により宅配便の利用件数が急増している。2014年1~10月までの宅配貨物取扱数はついに100億件の大台を突破し、世界一となった。また、経済が停滞する中でも、相変わらず不動産市場は活発で、内陸部では新築物件や工場などが次々と作られており、建材や資材を運搬するトラックは大都市間を結ぶ主要高速道路網で急増している。 荷量の増加に伴い、トラック事故も増えているのだが、中国のトラックドライバーはとにかく荒っぽい。大連市に住む日本人駐在員は言う。
「トラックドライバーは稼げるとあって、中国では貧困層や出稼ぎの人が多い。こうした人たちは、気性が荒く、常にイライラしてる印象ですね。道路事情もよく、国土も狭い日本とは違い、中国では移動距離が1,500キロ、2,000キロになることもザラで、道路も舗装されていないところを爆走したりしている。高速道路といっても、ボコボコのところもある。私なんて中国に来て5年たちますが、高速走行中にレンガや鉄製部品がトラックから落ちてきて、フロントガラスが蜂の巣になったことが3回もあります」 加えて、中国では過積載が当たり前。警察も取り締まってはいるが、ほとんど功を奏しておらず、「積めるだけ積め」という金儲け精神が蔓延している。「台州晩報」が12月4日に伝えたニュースでは、32トンしか積載できないトレーラーに100トン以上の砂利を積んでいた運転手が逮捕されたという事件もあった。
一方、もっと恐ろしいトラックドライバーたちもいる。日本では危険ドラッグ吸引による自動車事故が多発しているが、なんと中国の長距離ドライバーの間では、覚せい剤の吸引が日常化しているというのだ。広州市に住むフリーペーパーの日本人記者は言う。 「昭和の頃、日本でも長距離トラックが眠気覚ましのため覚せい剤を愛用していたことがありましたが、中国では今でもけっこう使用されています。新聞やテレビでは、毎日のようにトラック運転手の覚せい剤逮捕のニュースが流れています。幻覚症状で逆走したり、料金所に激突したり……恐ろしいですよ。高速道路では、猛スピードで近づいてきて煽ってきたり、急な車線変更やブレーキをする『いかにも』なトラックを見かけます。しかも、どのトラックも過積載ですからね。暴走殺人トラックとっても過言ではない」 過積載に覚せい剤……中国の高速道路はスピルバーグの『激突!』もびっくりの、キチ●イトラック野郎たちがばっこしているようだ。 (取材・文=金地名津)