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2013年参院選 本当に「表現の自由」を守ってくれる、信頼できる政党はあるのか?

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日本共産党中央委員会
 参院選の前哨戦ともいえる東京都議選は、59人の候補全員が当選する自民党の圧勝に終わった。対して、民主党は43議席から15議席へと勢力を大幅に後退させた。  都議会民主党は、2010年の東京都青少年健全育成条例改定問題の際に反対の声を上げた政党のひとつだ。その後、同年12月、2度目に都が改定案を提出した際には、一部の議員の反対を押し切って賛成に回り、批判も浴びた。その際、最後まで反対を掲げながらも党の総意に屈せざるを得なかった松下玲子氏は、今回の選挙では落選。2度目の改定案提出に際して行われた改定反対集会に登壇し、賛成に回ることを表明するとともに「批判するなら、選挙で判断してほしい」と述べていた浅野克彦氏は当選と、明暗が分かれた。  また、民主党から日本維新の会へ移籍して立候補した吉田康一郎氏も落選と、都議会で表現の自由を守る声を拾い上げていた多くの都議が落選するという事態になった。これを受けて7月に行われる参院選では、「表現の自由」に理解を示す国会議員が軒並み落選してしまうのではないか、という危惧も出てきている。  さて、そうした中で注目されているのが、得票数を増やし、議席数を8議席から17議席へと倍増させた日本共産党だ。民主党を上回り、都議会の第三党に躍り出た共産党もまた、2010年の都条例問題では改定反対を主張し、国会では児童ポルノ法改定に反対の声を上げている。現状、都議会でも国会でも、党を挙げて表現規制に明確に反対を掲げているのは、共産党だけといってよい。民主党、みんなの党は、いずれも個々の議員が反対の声を上げている状態である。そのため、都議選の渦中では、規制に反対する人々の中には「投票する人がいなければ共産党に」という主張が数多く流れた。  実際、都議会の議席数が倍増した背景には、ほかの政党に対する不信感とともに、いわゆる「オタク票」が投じられたことも一つの要素として考えられる。参院選では、与党の圧勝により再び児童ポルノ法改定案が提出される危惧から、ほかに表現の規制に反対する候補者がいない場合の選択肢として共産党に票を投じる人々も出てくるだろう。  Twitterなどでは「仕方なく」とか「この問題だけは」といった枕詞をつけながらも、都議選で共産党に投票した人々、参院選で共産党に投票しようとしている人々のつぶやきを、いくつも見つけることができる。  だが、表現規制に反対しているという理由だけで、ほかに候補者がいないからと共産党に投票して本当によいのだろうか。  2010年の東京都青少年健全育成条例問題では、熱心に都の改定案に反対をしていた民主党が方針を180度転換してしまう場面も見られた。同様のことを共産党が行わないという保証はまったくない。もちろん、どの政党にも言質や担保を取って回るわけにはいかない。それでも、共産党が本気で言論や表現の自由を保障する気のある政党かといえば、甚だ疑問である。  戦後の社会運動の歴史に精通している人ならば半ば常識だが、戦後のさまざまな政争や社会問題の中で、共産党の「裏切り」は幾度となく見られた(ホントに「裏切り」かどうかは、各々の判断で)。  古い記録を掘り起こしていけば、いくつもの事実は浮かび上がってくる。1960年の安保闘争の際に樺美智子が死亡した事件では「樺の死には、全学連主流派の冒険主義にも責任がある」と当局と共に全学連を非難するのに回った。67年、成田闘争の初期に空港建設予定地の外郭測量のための杭打ちが強行された。座り込む農民たちが機動隊にごぼう抜きにされているのに「道路交通法違反になるから座り込みを解きましょう」などと呼びかけ、離れたところで「がんばろう、突き上げる空に~」と歌って踊り、当事者の農民たちを唖然とさせた。  古い事例ばかりではなく、外には「表現の自由」の擁護者として振る舞いつつ、内では真逆の行動を取っている事実は、今でも変わらない。昨年、本サイトでも報じた、東京大学教養学部自治会が全学連(全学連といってもいくつもあるが、ここでは共産党系の全学連である、念のため)を脱退するという事件が起こった。  この過程では、学生の自主的な活動であるはずの自治会に共産党の東京都委員会が直接指導を行っていること、それに対する批判を封殺している事実が次々と浮かび上がっている。  ところが、取材に対して共産党本部は「適切な指導を行っているだけ」と、言論や表現の自由を内部の権力で押しつぶしている事実を認めようとはしなかった。  空恐ろしかったのは、その後別の取材場所で出会った共産党の杉並区議・原田あきら氏に、この問題について聞いたところ「はあ、全学連ってなんですか?」とうそぶいた。……共産党系全学連の拠点校である東京学芸大学出身の原田氏が、全学連を知らないというのは、あまりにも無理がある演技だ。そんなことをできるのも、党にとって都合の悪いことはないものとして扱うことを、当たり前のように繰り返してきた結果だろう。そうした行為を過去から現在まで繰り返してきた政党が、いま「児童ポルノ法改定反対」を掲げて、表現の自由を守ると主張しているからといって、おいそれと信用してよいのだろうか。  もちろん、規制を進める側に投票したくない中で苦渋の選択もあるという意見も否定はできない。だが、本当に表現の自由を守りたいなら、何が最良の方法かをいま一度考えるべきではなかろうか。 (取材・文=昼間たかし)

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