14日に行われたリーガエスパニョーラ第24節、首位バルセロナは7位セルタをホームに迎えた。試合は、ルイス・スアレスのハットトリックなどで6-1とバルセロナがセルタを圧倒し、リーグ戦は6連勝、公式戦無敗記録は30試合へと到達した。ハイライトが目白押しだったこの試合、中でも後半36分、リオネル・メッシがPKキッカーを務め、スアレスがゴールを決めた“トリックPK”が話題になっている。 「3-1でリードしている後半36分、メッシがエリア内で倒されPKを獲得しました。そのまま当たり前のようにメッシがボールをセットし、助走をつけてシュートモーションに入ったのですが、なんとここでシュートを打たず、チョコンと横に出したんです。そこにスアレスが走り込んで右隅にシュート、見事にゴールしました。これをやられたら、キーパーとしてはたまらないですよ。リプレイを振り返ると、PK獲得をねぎらいにきたスアレスに、メッシはそっと耳打ちをしているんです。おそらくここで示し合わせたのだと思います。得点王とハットトリックがかかったスアレスへの、メッシからのプレゼントだったんでしょうね。バルセロナというチームの仲の良さを垣間見るシーンでした」(スポーツライター) PKにおいて、ドリブルなどキッカーが続けて2度ボールに触ったり、キックフェイントをすることは禁止されているが、味方にパスを出すのはルール的には問題ない。古いファンの間では、オランダのレジェンドであるヨハン・クライフが最初に行ったプレイとして有名だ。近年では、2010年のアジアチャンピオンズリーグで、サンフレッチェ広島の佐藤寿人が槙野智章(現浦和レッズ)にパスを出し、韓国の浦項スティーラーズからゴールを奪っている。 PKはキーパーとキッカーの心理戦が結果を大きく左右する。しかし、このように確実にキーパーの裏をかくことができるトリックプレイが、なぜ滅多に行われないのだろうか? 「約10年前にアーセナルのロベール・ピレスとティエリ・アンリが、マンチェスターシティ相手にこのトリックを行ったのですが、キッカーであるピレスがガチガチに緊張して空振り、さらには2度続けてボールにタッチしてしまい失敗したんです。試合は1-0でアーセナルが勝ち、ことなきを得ましたが、奇抜なことをしようとするためプレッシャーもかかるので、意外と難しいんでしょうね。試合後にピレスは何もしていないアンリのせいにしてましたよ(笑)。普通に蹴ったほうがゴールの確率が高いので、あまり誰もやらないのだと思います。メッシも佐藤も試合を盛り上げるためにやったんでしょうね」(同) ケガもあり、24節終了時点で13ゴールは、例年に比べると少ないと言わざるを得ない今シーズンのメッシ。そんな中でも焦って自分のゴール数を増やそうとせず、仲間にお膳立てをする器の大きさは、さすがはバロンドールといったところだろうか。 (文=沢野奈津夫)『メッシ日記』(ベースボール・マガジン社)
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メッシのPKでスアレスがハットトリック? 世にも珍しい“トリックPK”が復活!
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