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Channel: 日刊サイゾー
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山口組分裂報道に見る警察のマスコミコントロール「分裂は当局による仕掛けだった」説も……

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『血別 山口組百年の孤独』(サイゾー)
「ある意味、警察が仕掛けたクーデターでもあるんです」  創設100年を迎えた暴力団、山口組の分裂騒動について、実話誌の記者からそんな話が聞かれる。 「警察が今回の分裂で今にも各地で抗争がドンパチ始まりそうなことを言っているのは、これを機に山口組を一気に叩いてしまおうということなんでしょうが、そもそも警察が分裂を煽った説があるんですよ」(同記者)  山口組の分裂は、先代の五代目組長を輩出した傘下の有力二次団体、山健組をはじめとする旧主流派が、六代目組長就任以降の勢力争いで劣勢になり、これへの不満に端を発して関西系の13組が離脱したもの。実はこの状況は暴力団の動向をメインに追う実話誌ではすでに予測解説されていたことで、今回のクーデター報道が間に合わなかった8月29日発売の「月刊実話ドキュメント」(マイウェイ出版)でも「世代交代」という言い回しでその構図が解説されている。  山口組では、組長と親子の盃を交わした「直参」の数が五代目から六代目にバトンタッチした10年前に大きく変化していた。73名の直参うち、三代目組長時代に直参となった者は、五代目時代には12名いたが、六代目になるとわずか2名に激減。同じく四代目世代の直参は14名からたった1名に減っていた。  そして五代目世代は67名も直参がいたところ、六代目になると22名と大幅に減っており、逆に六代目世代は48人が新たに直参となって7割近くの数を占めていたのだ。  組の要職に就く者の数も、幹部12名うち8名が六代目世代の直参で、「実話ドキュメント」ではこれを「世代交代を進める組織改革」と伝えていた。同誌で長年、暴力団の取材を続ける記者によると「勢力図がそのまま金の流れに表れるので、五代目世代の者たちは経済難から不満を募らせていた」という。 「ただ、その動向が以前より鮮明に見えなくなっていて、それは暴力団排除条例などでヤクザ専門の記者が取材にしくくなっていることが大きいんです。普通の業界であれば関係者と親しくなって食事でもしながら定期的に話を聞いたりしますが、これがヤクザ相手だと下手すれば交友関係と見なされてしまうので、携帯電話に暴力団関係者の番号ひとつ残しておけなくなっています」(同)  結果、近年では暴力団情報入手の比重を高めているのは本職よりも警察からの情報で、記者以上に警察が暴力団情報をコントロールするようになっているという。 「警察関係者は、マスコミに情報を流す中で暴力団組員たちを仲たがいさせようと、偏った情報を流したり、一方を極端に貶める内容の暴露本を出版させたりしていたので、ある意味では今回の分裂騒動は警察が起こしたクーデターだという人もいますよ」(同)  たしかに分裂報道は専門誌ではなく大手の全国紙が一斉に報じており、その情報源はいずれも警察発表だ。 「大手メディアでは、抗争の危険が迫っていると主張する記事が目立っていて、これなんかは警察にとって暴力団潰しの口実になる話。ただ、実際には今の暴力団は抗争してしまえば自分の首を絞めることになるので、もっと慎重ですよ」(同)  警察が警戒するのは1985~87年、四代目組長の人事トラブルから全国での銃撃戦に発展した「山一抗争」の再現だが、これは92年施行の暴力団対策法やその後のたび重なる法改正、全国の排除条例につながっており、かえって組織の弱体化を招いた歴史がある。 「少しでも何か事件が起これば警察は大々的に報じさせて徹底した弱体化を狙うんでしょうが、怖いのは、その弱体化が訪れた後です」(同)  というのも、数万人の組員たちがさらなる弱体化で日々の生活費にも困る事態になれば、なお末端での犯罪者化が進むという見方がある。組織の方針に背を向けて一部が暴徒化するのは、現状よりも怖い話だ。最近は関東連合など半グレと呼ばれる少数精鋭の不良集団が一般人に紛れて犯罪集団化しており、こうなると警察でさえもその実態をはかりにくくなっている。  暴力団は反社会勢力として不要な存在となっているが、かつて彼らが握っていた警備やパチンコなどのビジネスは、今や警察利権の柱となって拡大しているとも言われており、別の問題の浮上も危惧される。だからといって暴力団を守るべきともいわないが、目先の分裂以上に怖い未来への不安が存在する。 (文=ジャーナリスト・片岡亮)

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