韓国でクレジットカードや消費者金融の借金に苦しむ人たちが、年々増えている。 2009年からの5年間で、当局に申請が受け付けられた個人破産の件数は38万4,000件。破産による免除額は約4兆2,500億ウォン(約4,700億円)に上る。一方、最新の年次統計では、個人再生の申請受付件数が歴代最高を記録。14年に発表された統計では、13年の1年間で10万6,000件の申請があったことが明らかにされた。ちなみに、09年の申請数は5万5,000件。約5年で2倍近く増加している。 経済成長率の低下、少子化、格差拡大など、先進国手前ですでに先進国同様の経済的課題に直面している韓国社会だが、今後もクレジットカードや消費者金融の借金に悩む国民は増えるだろうと予想されている。 さて、個人破産する人たちが増えたためか、韓国では信用情報に傷がついた債務者に対して、高利で金を貸し出す違法貸金業者=闇金が増えているそうだ。大韓法律救助公団の統計によると、13年に違法な請求として届出があった被害金額は27億ウォン(約3億円)。09年の時点で約5億ウォン(約5,500万円)だったという統計と併せて考えると、約5倍に増えた計算になる。逆に、“貸付業の登録および金融利用者保護に関する法律”違反で摘発された事件は、3,414件から1,019件に減少。これは、闇金が減ったことを意味するわけではなく、警察の捜査怠慢が理由として指摘されている。 韓国版『ウシジマくん』ともいうべき闇金が増え始めているということになるのだが、彼らの実態とは、一体どのようなものなのか。 まず昨年2月には、伝統市場(南大門や東大門市場のような場所)の小規模店舗経営者に対して、貸金業登録をせずに年利450%の違法な利子率で貸し付けを行っていたとして、68歳の男が逮捕された。この男は支払いに困った債務者に対して、脅迫を繰り返していた。刃物をちらつかせることは当たり前、時に大型犬をけしかけて取り立てを行っていたとされる。 また9月には、違法貸金業者が殺人および死体遺棄の罪で、無期懲役を宣告された。この男は債務者3人の失踪届を提出させて保険金をだまし取ろうしたが、失踪での保険金受取額が、満額の10%にしか満たないと知ると予定を変更。債務者2人に協力させ、残りのひとりを殺害した上で海中に捨てたとされる。 2カ月後の11月には、韓国旅行の人気スポット・明洞で“闇金王”の異名を持つ男性が、現職の判事や検事に金品を渡し、子飼いにしようとしたことが明るみに出た。判事や検事に数千万円相当の献金を続けたこの“闇金王”は、賭博、恐喝、麻薬などさまざまな罪で起訴されるたびに罰金刑のみで保釈。違法金利で巻き上げた金で、違法行為に目をつぶらせていたのだ。 これらの事件は映画やドラマのようだが、すべて現実に起こった事件。今後も個人破産が増えると予想されるため、闇金や借金を取り巻く事件が起きる可能性は高い。 ちなみに、韓国は上限金利が日本より高く設定されている。日本は20%を超えると刑事罰の対象となるが、韓国では貸金業登録された業者が設定できる上限金利は34.9%となっている。違法金融業者の取り締まりと並行して、破産者を減らすための上限金利の法的な枠組みをどのように設定していくかが、今後の課題となりそうだ。 (取材・文=河鐘基)『闇金ウシジマくん 32』(小学館)
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年利450%!? 韓国で急増するリアル『ウシジマくん』の借金取り立て手法がコワい
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