悪質なアダルトサイトによる、高齢者の詐欺被害が急増中だ。国民生活センターによると、60代からの最近の相談は「アダルトサイトに関するもの」が1位だという。 被害の届け出が多いのは、検索サイトで表示されたアダルトサイトのリンクをクリック、「登録完了」の表示とともに高額な料金請求をする詐欺だ。本来、支払いの義務はないが、高齢者が周囲への発覚を恐れ、慌てて支払いに応じてしまうケースがあるという。 一方、いまだアナログなアダルト詐欺被害の報告もある。記者に被害を訴えてきたのは、都内の男性(62)だ。なんと、モーニング娘。初期メンバーの「トイレ盗撮映像」をネタにしたDVD販売の詐欺に遭ったというのだ。 男性は妻に先立たれ、定年退職後はボランティア活動をする程度で、暇を持て余していたという。 「そんなときだったから、余計なものに興味を持ってしまい、お恥ずかしい話ですが、言われた通りに3万1,000円を支払ってしまったんです。でも、何日待っても何も送られてこなかった……」(男性) 男性がだまされたのは、自宅に投函された1通の封書。中には1枚のチラシが入っており「あのウワサのモーニング娘。トイレ盗撮映像 DVD各限定100本 お急ぎ下さい」という下劣な違法DVDの販売広告だった。 チラシには送料込みで1万1,000円となっているが、記された電話番号に連絡すると、電話に出た男は「DVDはメンバーひとりに付き1万円」と言い、かなり高額ではあるが、男性は3種類をオーダー。送付先の自宅住所を伝え、送料を足した計3万1,000円を指定された口座に振り込んだが、DVDは送られてこなかった。 チラシには「購入者には次作『AKB48トイレ盗撮映像』をご案内!」と書かれていて、男性は「それも期待してしまった」と言う。 「いけないものを注文したという自覚はあったので警察に言えず、だまされても泣き寝入りするしかないなとあきらめてたんですが、同じようにだまされた人がいると思ったら、腹が立ってきて……」(同) 被害額でいえば高齢者の詐欺被害の中では決して多くない部類で、なにより人様に知られたくない恥ずかしいトラブル。犯人はその点を踏まえ、警察などへの通報がされにくいことまで想定して仕掛けたのかもしれない。 モー娘。が大ヒット曲「LOVEマシーン」で旋風を巻き起こしたのは1999年で、かつての盗撮映像騒動もそれから間もない時期のこと。18年前、男性は当時44歳。モー娘。のファンではなかったというが、グループの存在は鮮烈に記憶。「むしろ、AKB以上にインパクトあった感じ。でも、その盗撮騒動はまったく知らなかったです。だから正直、こんなものがあるのかと驚きました」と打ち明ける。 男性がこれを信じたのには、封筒に会社名、代表者、住所がハッキリ書かれていたことも大きかったという。封筒には「オリジナルデータジャパン 岩間良太」と書かれていたが、東京都新宿区西新宿5丁目の記載住所を現地確認してみると、雑居ビルにある都の水道関係の事業者だった。注文時に通じた電話番号も、すでに使用されていなかった。 「詐欺が確定しても、警察に行くのはいまだ決心がつかない」と男性。封書が入れられた自宅は都営の古い集合住宅で、住民は「62歳の私でも若いほう」とする高齢者の多いマンションだ。同所は戦後の住宅難の時代に建てられ、70年代に木造から鉄筋に建て替えがあったが、都心にあるのに巨大な老人ホームのようでもある。事実、周辺区域は約5,600人が住んでいるが、65歳以上の高齢者は約2,800人。それも一世帯当たり1.7人で独居老人が多く、4歳以下は50人程度しかいない状況だ。高齢者を狙った詐欺師にとって格好のターゲットエリアとなっているわけだ。 「高齢者と国が定める65歳まで3年ある私でもこうしてだまされるんですから、年上の方なら、もっと簡単にだまされてしまいそうですね」と男性。不特定多数のネット詐欺ばかりではなく、こうした特定地域を狙ったアナログなアダルト詐欺行為も横行しているのだ。 (文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)イメージ画像(Thinkstockより)
↧
高齢男性狙いのアナログすぎる「アダルトDVD詐欺」が横行中! 被害者も泣き寝入り「警察に言えない……」
↧